流行病体験記(2010.1)

1. 熱がどんどん高くなっていき、真夜中には多分もの心ついて初めて39度2分。まさかと思っていた新型インフルエンザにかかってしまいました。先に一緒に住んでいる次男が39度7分の熱を出して即新型インフルエンザと分かった時もまだ老人はかからないと高をくくっていました。
 その2日後に微熱が出た時もまあ鼻風邪程度だろうと念のため翌朝診て貰ったら、主治医は、まだウイルスは多分出ないでしょうなと言いながら検査して結局陰性でした。夕方までに38度以上の熱がでたら間違いないのでもう一度来なさいと言われました。

2. 普通の風邪薬を処方して貰い夕方まで待つ間、微熱はあっても横になるほどではないし、本当に感染しているなら早く熱が出た方がいいと考え、愛犬の小太郎の散歩に出かけました。夕食前6時に計ったら37度5分、食事を終えて7時に計ったら35度7分、やばいと思いながら食後すぐは体温が高かろうと7時20分まで待ってとうとう38度。これで諦めがついて医者に駆け付けると即座に新型インフルエンザに間違いないとの診断でウイルス検査もされずタミフル5日分を貰いました。
 これで5日間の禁足が決まり残念至極、実はこの間、とても大切な予定が5つありました。巡礼コースの下見、老人クラブの集まり、よしもとの観劇、ミサの旧約聖書の朗読と会計監査。これだけ予定が集中するのは一昨年引退してから珍しい。多くの人に迷惑をかけることになりました。
ところがそれからが大変でした。

3. 帰宅してすぐタミフルを飲み、家内とは部屋を別にして床に着きましたが、激しい咳込みと水分を採ることによる尿意とでほぼ1時間毎に目を覚ましました。つらくても新型の病気の体験ですから、そのつど朦朧とした中で体温を計り、その時刻と体温を記録し続けました。少しずつ上がり始めて夜中には39度を超え、それが4時間続きました。最高は39度2分。堪え切れずに真夜中に階下の家内に携帯でアイスノンと熱さまシートを持って来て貰いました。熱が39度を切ったのは5時前のことで、それからは少しずつ下がって、翌朝の10時過ぎには38度を切りました。

4. 今は発熱して、タミフルを飲み始めて丸2日の夜です。熱が37度を切ったのは、今朝のことです。それから半日の今まで37度を1分程度の上下が続き、まだ平熱には戻りません。さすがに1日目は寝床で、時々「ガリア戦記」を読む程度でした。1番気を付けるのは残る家族にうつさないことです。
 家内は幸い先にワクチンの注射を済ませていましたが、残る心配は娘です。寝室がら出るときはまず手の殺菌をして必ずマスクをして、時間をずらしたり、トイレを別にしたりしています。ネットで見たところアメリカのデータですが、発症者の同居の者への感染率は13%ということです。それが私にうつったのだから、娘への感染率は、さあちょっと今頭が回りません。
 とは言っても丸2間寝ている退屈しのぎには年末に図書館で借りたカエサルの「ガリア戦記」が手頃で、読み上げることができました。それともうひとつはこの携帯です。

5. 私のホームページのサーバーにはたくさんのデータをアップしていますが、そのうちかなりのものを携帯で読み易いように軽いテキストだけにしています。短編小説などもいくらかありますが、もちろん個人で楽しむためその部分は公開していません。これが起き上がれない時とても役に立ちます。本は携帯より重いし、何より携帯はページを開いて持ったりめくることが全部片手で出来るので左右交替すれば、寝たままの読書の最大の問題、両手とも冷えて時々休んで布団の中で暖める必要がないのです。
 そしてやはり1番の楽しみは、文を作ることです。このブログを気ままに作っているのはそのためです。仰向けになって簡易パソコンの入力をしているようなものです。もちろんフルキーボードと違ってスピードはずいぶん落ちます。次の携帯はフルキーにしようと思っていましたが、それではやはり布団から両手をださなければならないし、手は3本ないので片手で携帯を持つとキーは片手でしか打てません。こんなことが分かるのも病の効用でしょう。
 もう一つ分かったことは、こうやって書き綴るのは気楽な楽しみということです。先に挙げた計算、4人の内の1人がかかった病気が家族にうつる確率を13%としてもう1人にうつった、残り2人の内もう1人にうつる確率を暗算で解くとか、3日後が締め切りの詰碁2題にチャレンジする気力はないのに、こんな駄文はだらだら書けるのですから。

6. さて問題は私のこれからのことです。これもウエブによるとウイルスは1日目81%、2日目43%、3日目13%、5日目5%、と減少していくということです。今の私の中では半分以下になったらしい。それでも今朝から半日以上体温は37度プラマイ
1分で落ち着いていますがそれから下がろうとはしていないようです。血圧はここ十年来ほぼ毎日記録しているので標準偏差10くらいかなと感じていますが、体温の計測値の変動のようすがよくわかりません。まず昔の水銀のものは3分間待って取り出していましたが、使っている電子式は測定完了の電子音で取り出します。この電子音がいくら耳を澄ませも、5分過ぎても聞こえないことが多いのです。電子音は多分一定秒数経て温度が変わら無ければ完了とするようになっているのでしょう。もっともこの体温計は単身赴任のとき買ったものですからもう15年以上の前のもので最新式ではありません。
 そこで音が聞こえない時がほとんどなので、6分から7分待って読み取ることにしました。センサー部分が体温まで上がるのにどれだけ時間かかるかということですが、これは伝熱工学の問題です。まず熱容量の比ですが、これは数十ミリグラムの感温部は無視していいでしょう。まして身体の中では全身を巡るのに25秒しかかからない高速で暖かい血液が冷えた部分に送り込まれる、つまり体温計による体温の変化は無視出来るということです。次は熱伝導の問題です。センサー側に断熱材が使われるはずはないし皮膚側と密着しているので残りは体温計のセンサーカバーと多分半導体温度センサーのサーミスタでしょうけどその間の熱の伝わり具合ですが直径が2ミリ程度ですからそうかかるとは思えません。話は思わず体温計に偏りましたので、私のこれからに戻ります。

7. 罹患して2日半経ち、幸い体温は平熱に戻ったようです。36度4分から6分です。家内は私の代わりの人を見つけてよしもとに出かけ、子どもは治ったので、外出はしないにしても家の中を少しずつ動き回りたいのですが、体調はもうひとつ優れません。それを我慢して動いた方がいいか、静かにしていた方がいいか、悩むところです。私のタイムリミットは丸5日半の朝です。その日家内が入院するので病院にそこそこの荷物を車で運んだり、それを病室まで運ばなければなりません。そしてその後は子どもがいるとはいえ当分ぬ間自分の面倒は自分で見なければならないのです。
 というわけで多少気が進まなくても身体を少しずつ動かした方が良さそうです。ウイルス退治はタミフルだけが化学的な効果で受け持つのでしょうけど、身体自身の回復力もそれを助けているのだと思います。まあ3日目の今日の夕方は小太郎の軽い散歩に付き合う程度にしておく方がいいと思います。丸5日過ぎて外出する前にウイルスが出なくなった確認検査を行う方がいいと思いますが、月曜はその医院は休みなので、火曜日には極力人に接触しないようにして、その夕方検査を受けるつもりです。

8. 以上は布団の中で携帯でブログに送った記事ですが、これをhtmlにしました。現在は4日目、起き出してはじめて小太郎の散歩に行き、午前中発熱と時間経過のグラフをパソコンで打ってグラフを作りました。この記事はパソコンで打っています。やはりパソコンのフルテンキーは楽です。夕方やむを得ないので外出しようと思いますが、きっちりマスクをして、何もさわらないようにしようと思っています。