家なき子レミの歩いたフランス

 子どもの頃に何度も読み返していた「家なき子」を思い出したのは、私の初めてのヨーロッパ巡礼で、バチカン、アシジに行ってから、ルルドの行き帰りに立ち寄ったツールーズでした。2006年5月のことです。ルルドを終えて翌日フランスの新幹線でTGVでパリに行くときにツールーズの駅で短い自由時間に駅前を歩いていましたら、運河らしいものが見えました。
 フランスの運河で思い出したのは、ヴィタリス親方が牢に入れられたとき、途方にくれていたレミが出会った、ミリガン夫人の白鳥号が浮かんで運河でした。そのときすぐには分かりませんでしたが、帰国してもう一度改めて「家なき子」を書店で買って読んだら、それがツールーズの近くであったことが分かりました。

 それ以来、いつか時間が出来たらレミが歩いたフランスを地図の上でいいからたどって見たいという望みが強くなってきました。手元の世界地図ではフランスの細かいところまでは分かりません。京都の日仏文化協会に電話で尋ねてみましたが、目的の地図はなさそうでした。
 書店で旅行関係の棚を探していましたら、個人旅行案内のフランス編の本の中に折り込まれていた2百万分の1の地図を見つけました。その地図だけが欲しくてその本を買いました。2007年3月のことです。

 それ以来なかなか時間が取れませんでしたが、2008年9月でそれまでの仕事を止めてからようやく最近になってその地図を広げることが出来ました。偕成社文庫の「家なき子」本文、挿絵、訳注を参考にしてなんとか目的を達成することが出来たように思います。以下はそのフランス地図旅行の記録です。
 なお広いフランスのどの位置にあるのかは、自分流にパリを中心として方向は時計表示で、距離は大まかなキロ数で表してみます。地名の後ろの数字は、上巻2005年7月3刷、中巻2004年5月2刷、下巻2004年5月2刷によるもので、私個人の覚え書きです。

シャバノン村上11 レミがバルブランかあさんに育てられた場所ですが、訳注によると架空の地名であり、クルーズ県からコレーズ県に広がる高原のどこかとあります。6時5分350キロ辺りです。レミがヴィタリス親方に売り飛ばされた村は、家から歩いて1時間ほどでした。

ユセル1上00 シャバノン村を出てから数10キロの町で、そこで衣装を買ってもらって初お目見えします。何かにつけてレミを慰めるのはかしこいプードル犬のカピでした。

オーヴェルニュ、ヴレー、ヴィヴァレ、ケルシー、ルーエルグ、セヴェンヌ、ラングドック上140 南部フランスの一郭を回ったとあります。

オーヴェルニュ山地上143 5時50分400キロ

ミュラ上144 5時50分425キロ

クロマニヨン 6時20分450キロ これはレミと関係ないことですが、地図上で聞きなれた名前を見つけました。ネアンデルタール人を旧人というのに対して、新人と言われる20万年前に誕生したホモサピエンスのクロマニヨン人発見場所です。

ドルドーニュの谷上147 6時半450キロ  

サンテミリオン上148 6時47分480キロ 

ボルドー上150 6時50分500キロ 

ランド地方上152 6時47分590キロ 

ポー上165 6時40分650キロ そこからカトリックの聖地であるルルドまでは南東40キロほどです。

トゥールーズ上167 6時25分600キロ ここで一人で興行の準備をしていたレミを警官が殴っりました。そこに帰ってきた親方が思わず制止しようとして警官に捕らえられて禁固二ヶ月の刑を言い渡されました。一人になったレミは途方にくれてトゥールーズから少し離れた運河の岸にいたところ運命のミリガン夫人に会い、しばらく白鳥号に住まわせて貰うことになりました。

ヴィルフランシュ・ド・ローラゲ、カステルノーダリ、カルカソンヌ、ベジェ上253 ミディ運河に沿って白鳥号でつかの間の楽しい生活を過ごします。

ベジェ上254 5時50分620キロ

セート上256 5時40分610キロ ミリガン夫人の白鳥号を降りて、ヴィタリス親方とつらい旅が始まりました。レミを引き取って育てようというミリガン夫人の申し出に、ヴィタリス親方は、ていのいい奉公人の暮らしより私が教育すると言い切ったのです。

アルル、タラスコン、アヴィニョン、モンテリマール、ヴァランス、トゥルノン、ヴィエンヌ上281 アルル5時25分600キロからローヌ川に沿ってヴィエンヌ5時10分420キロまでの町をレミ一行は歩きました。

リヨン、シャロン、ディジョン上282 リヨン5時400キロからシャロンを出るときようやくレミは白鳥号に再会することを断念して4時20分260キロのディジョンに向かいました。

シャチョン(シャティヨン・シュル・セーヌ)上284 4時5分200キロ冬に向かって出来るだけ早くパリに着くため、シャチョンまではたどり着きます。ところがなんとか悪天候でも興行できるトロア3時50分140キロに早く着きたいと雪の中を無理して歩いて、山の中の小屋で一晩過ごし、そこで狼に襲われて芸達者な2匹の犬を失います。そして次の村で人気者の猿も失います。 

パリ中25 0時0キロ ヴィタリス親方はパリで新しい動物に芸を仕込んでいる間、レミを知り合いのガロフォリ親方に預けようとしますが、その親方の子どもたちに対するひどい仕打ちを見て、思わずレミを出します。あてがないヴィタリス親方は冷え込んだ町をさまよい、疲れと飢えで倒れこんでしまいます。
 レミが気づいたときにはパリ郊外の親切な花屋家族に救われ、ヴィタリス親方が亡くなったことを知ります。
 当てのないレミはそのまま花屋のアキャンおやじさんに引き取られます。
 温かい家族の一員として迎えられたのもつかの間、突然の夏の嵐に花屋にとって高価な温室のガラス板がめちゃめちゃに壊れ、破産してしまいます。アキャンおやじさんは借金のため刑務所に入れられ、一家は離散、運命的な出会いであるかわいいリーズとも別れ、レミはまたカピを連れて旅芸人に戻ります。
 パリを離れるときガロフォリ親方のところでひどい目にあっていたマチアと出合ったので、一緒に旅をすることにします。マチアは天才音楽少年でした。
 自由になったレミは、バルブランかあさんのいるシャノン村に行きたいと、パリから南の方に向かいます。

フォンテンヌブロー中185 5時60キロ、モンタルジ中198 5時半100キロレミはバルブランかあさんへ土産に牝牛を買おうと決心します。そのためにはたくさんのお金を稼がなければならないので寄り道します。

ヴァルス(セヴェンヌ山地のどまん中)中204 5時40分540キロ 架空の場所ですが、アキャンおやじさんの子どもの一人アレクシが預けられている炭鉱町です。炭鉱の運搬夫をしているアレクシが怪我をしたので、レミが代わりに炭鉱の中に入ったとき、恐ろしい事故が発生して100人を超える人が亡くなり、レミは他の5人とともに奇跡的に助け出されました。

クレルモン下13 5時40分350キロ レミは牝牛を買うためのお金を貯めるために、直接シャバノン村に向かわずに、遠回りすることにします。

マンド下20 5時40分500キロ クレルモンに向かう途中の町で、レミはマチアのために音楽のことをもっと知らせたいと、マンドの音楽家の理髪店に立ち寄ります。

サンフルール下31 5時45分440キロ、イソアール5時40分380キロ クレルモンに向かう途中に経由しました

モンドール下32 5時40分370キロ温泉地の大きい町で、二人は牝牛を買うに足りると思われるお金を稼ぐことができました。

ユセル下37 6時370キロ、親切な獣医に頼んで、いい牝牛を買うことが出来ました。

シャバノン村 途中牛どろぼうと間違われる騒動もありましたが、牝牛を連れてなつかしいバルブラン母さんに会うことができました。そこで、レミの家族がレミを探しているということが分かり、パリに向かうことになります。

オビュソン下118 6時5分330キロ、モンリュソン5時50分280キロ、ムーラン5時半260キロ、ドシーズ5時20分240キロ パリに向かう途中、アキャンおじさんの子どもリーズが預けられているところに向かいます。

ドルージ下120 訳注によると地図では見当たらないとある。ニヴェルネ運河の途中の水門管理人に預けられたリーズに会うために立ち寄りました。

パリ ロンドンの法律事務所に行けば家族のことが分かると伝えられて、英国に渡ることになります。

ブーローニュ下121 11時半210キロ レミとマチアはこの港からロンドンに向かって出発します。

イジニー下337 9時25分260キロ イギリスでいろいろなことがあり、結局本当の両親ではないことが分かり、そのうえ泥棒として警察に捕まったレミはマチアの友人の助けにより脱走して船でフランスに逃げ帰り、ここに上陸します。

バイユー下341 9時20分220キロ、カン 9時20分200キロ、ルーア 10時10分210キロ 二人はミリガン夫人の白鳥号を探してフランスを旅します。
パリを出てセーヌ川に沿って上り、ヨンヌ川に出ます。 

そこからニヴェルネ運河に入ってジョワニー下348 4時45分120キロ、オーセール下348 4時45分140キロ、を経由してドシーズ下355 5時20分240キロまで行きます。

そこからサントル運河を通って
シャロン・シュル・ソーヌ
下355 4時40分300キロに行きます。

リヨン下356 5時400キロ シャロンからソーヌ川沿いにリヨンに出て、そこで白鳥号はスイスへ行ったという確信を得てローヌ川をさかのぼります。

セセル下357 二人はリヨンからローヌ川に沿ってセセルまで行き、そこでミリガン夫人一行がスイスのヴヴェの別荘で夏を過ごすことまで分かり、ヴヴェに駆けつけます。

ヴヴェ下359 さて、レマン湖湖畔のヴヴェがみなしごレミの母がミリガン夫人であることが分かる運命の地ですが、いかんせん、2百万分の1の地図ではそこまで乗っていません。そこで、グーグルマップを見ることにしました。そうすると見つけました。位置は4時25分430キロ辺り、レマン湖東端は地図に出ているモントルーですが、そこから北西に5〜6キロの位置にVeVeyとありました。とうとう最後まで来ました。

家なき子はこののち英国の由緒ある古城の持ち主の家系の相続人と分かり、これまで交わった多くの人々を招いて祝宴を開くのですが、私の旅はヴヴェで終わります。