日 時 2005年8月19日(金) 会 場 京都市 河村能舞台
21日(日) 高岡市 青年の家・能舞台
23日(火) 金沢市 石川県立能楽堂
出演者 パールヴァティ・バウル
吉村 桂充
茂山あきら
茂山童司
杉浦 聡
市川佐代子
戸波有香子
日が射しているのに雨が降る、ああ、狐の嫁入りかと、ふと思いますが、同じようなお話がインドにもあるそうです(こちらがルーツなのでしょうか?)。この2つのお話をテーマとした今回の風流歌舞狂言の舞台は、茂山あきらさん、童司さんの文字通りの狂言回しで、パールヴァティ・バウルさんのインド舞踊、吉村桂充さんの地唄舞を、杉浦聡さんの胡弓、市川佐代子さんと私の三味線、箏の地方で進められます。しばし浮き世をはなれたアニミズムの世界に浸っていただけるのではないかと思います。
8月19日(金)、河村能楽堂に行きました。切符が売り切れたという話を聞きましたので、早めにと思い6時半には入場しましたが、すでに大部分の席は埋まっていました。能舞台はずっと以前京都に来て間もなくの頃に観世会館に行ったことがあり、これで2度目ですが、席は畳に座布団でした。
右は公演中は撮影できなかったので、始まる前に撮った能舞台の写真です。
第一場は、インドの吟遊詩人のパールヴァティ・バウルさんが、民族楽器を手に舞いながら、インド神話「ラーフとケートゥ」を歌い語りました。インドの言葉は全く分かりませんでしたが、語り部の茂山あきらさんが前もってあらすじを語り、場面を示す大きい3枚の色鮮やかな絵と、場面を説明する筋を墨で描いた大きい用紙をめくっていきましたので、よく分かりました。昔インドで仏様が与えてくれる不老不死の薬を神々たちがいただいている時に、大きい龍の姿をした魔物がごまかしてその不老不死の薬を飲んでしまうという物語です。それを見た太陽と月が仏様に告げ、龍は真っ2つに切り離されてしまいます。それでも魔物の龍は、不老不死の薬を飲んだので、死なずに、頭のラーフと、しっぽのケートゥが2つに別れたまま、太陽と月を永遠に追い回すという物語です。遠くでしたので絵を双眼鏡で見ると、仏様と神様のいる場面で龍は頭が7つあり、出雲の八岐大蛇(やまたのおろち)を思い浮かべました。
太陽と月を追いかけ回すという神話から、ラーフとケートゥは星座の何に当たるのか知りたいと思いました。
第二場は、夕顔のような清楚な美人が、地唄の「夕顔」の曲を舞いました。なんとなくほっと安らぎました。それからインドの狐になって恋した日本の男性のところにやってきました。上方舞の吉村桂充さんには法住寺で何度かお合いしたことがありますが、さすがでした。
第三場の狐の嫁入りの行列は微笑ましいものでした。