忘己利他

 
 フランシスコの家の食堂に、天台宗座主恵進大僧正の色紙が掲げてあり、それには「忘己利他」と書かれています。私は、この言葉がとても気に入りましたので、何とか私の家にも掲げたいと思ました。
 私の親戚の本間流華という書道家に頼んで書いて貰いました。それが右です。

 キリストは「十字架を背負って自分に付いてくるように」と言い、自分でその生き方を示しました。アシジのフランシスコそれに倣った一人です。私は少しでもその生き方に付いていきたいと思いますが、なかなか出来るものではありません。

 キリストは、「敵を愛し、あなたがたを迫害する者のために祈りなさい(マタイ5・44)」、「誰かが右のほほを打ったならば、他のほほも向けなさい(マタイ5・39)」、「人から自分にしてもらいたいと望むことを、人にもしてあげなさい(マタイ7・12)」、「金持ちが天の国に入るのはむずかしいことである(マタイ19・23)」、「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛せよ(マタイ22・37)」「隣人をあなた自身のように愛せよ(マタイ22・39)」

 これらの多くの言葉を、一言でまとめると「神を愛しなさい」ということになるでしょう。この言葉は、私の心にはなじまないのです。そして次に「自分を愛するように隣人を愛しなさい」という言葉も、どうもどうもなじまないのです。理屈では、私だってしょせん人間ですから、きれい事を言っても自分が生きることを最優先していることは、潜在意識からぬぐい去ることは出来ないでしょう。しかし、感覚的には私にはこの「忘己利他」の言葉が一番心に響きます。

 忘己利他に神を愛するとルビを振りたいと思います。