ハムレット(2009.7)

 NHK衛星で「荒野の決闘」が放映されました。「カサブランカ」と並んで私の最も好きな映画の一つですが、この中で、クラントン一家に閉じ込められた旅の名役者が演じた台詞が非常に印象に残りました。 ハムレットの「生きるか、死ぬか、それが問題だ」だけは、高校生の頃からよく知っていましたが、続く台詞は全く知りませんでした。改めてこの名作の中でそれを知り、強烈に印象に残りました。名役者が途中で行き詰まり、ドク・ホリデイが引き継いで語りました。写真の左がヴィクター・マチュアのドク・ホリデイ、右がヘンリー・フォンダのワイアット・アープです。
 ドク・ホリデイは不治の病を抱えて陰影があり、この台詞は象徴的でした。脚本に基づくものでしょうけれど、さすがジョン・フォードの演出でした。

 下の台詞は字幕のものですが、最後の「人を臆病にする」の時、ドク・ホリデイが咳き込んで終わりましたので、その後に続く台詞があるかも分かりません。図書館に福田恒存訳の戯曲を申し込んでいるところです。

生きるか 死ぬか それが問題だ
無残な運命の矢を 耐え忍ぶべきか
苦難の荒波に立ち向かうべきか
死は眠りにすぎぬ
眠れば胸の痛みも 肉体の苦痛も消える
これこそ望むところ

死は眠り
だが眠れば夢を見よう
それがつらい
死の眠りの中でも 抜け出た現世の夢を見る
それを思うと
死をためらい 長い人生の 苦難にも耐えていくのだ
裁判の遅れ 役人の横柄 屈辱に耐えるのもそれゆえ
いやなら短剣で 自ら死ねるのだから
つらい人生の重荷にうめき 汗水ながすのも
死後の不安ゆえ

訪れた者が戻ったことのない未知の国が
決意を鈍らせ 勝手知ったこの世で
苦労した方がましと
人を臆病にする