中村鴈次郎さんと戸波有香子先生

 私の地歌のお師匠さんは、生田流宮城会の戸波有香子先生です。三味線を手にとって教えて貰いはじめて満6年になります。「磯千鳥」は私がホームページを作ったときアップロードしましたが、それから今までかなりの曲を習いました。今「越後獅子」を終わって「船の夢」に移ったところです。

 戸波先生は先日、大阪の梅田・曽根崎のお初天神に参りました。お初天神は『曽根崎心中』ゆかりの地ですが、昨年『曽根崎心中』から三百年、作者である近松門左衛門生誕三百五十年という節目の年で、お初・徳兵衛慰霊像の建立が計画され、今年の4月に完成して、除幕竣工奉告祭・慰霊祭が行われたものです。

 歌舞伎界から、中村鴈次郎さんが迎えられ、「私はお初に育てられました」と語っておられたと、先生は感慨深げでした。慰霊祭のあと、お茶席で戸波先生は筝曲を献奏され、献茶は小笠原流煎茶道、献花は容真流によって行われました。

 中村鴈次郎さんは、もう数十年前、中村扇雀さんのお若いころの主演映画が印象に残っています。今年評判のNHK大河ドラマ「新撰組」にもその場面はありましたが、佐久間象山を暗殺する河上彦斎の役でした。当時扇雀さんは女装すると、私にとってはどんな女性より魅力的に見えましたが、この映画では女装の場面はありませんでした。剣を極めるための厳しい修行と、佐久間象山に切り付ける場面が今でも思い浮かびます。

 三味線を始めたとき、5年か10年しなければ人に聞いて貰えるようにはなれないと思っていました。ところが、もう6年過ぎたのにまだまだです。まあ今の私にとっては、一曲ずつ終えていくのが楽しみです。新しい曲を始めて、何回かのお稽古の後、全曲通せるようになったとき、私にとってマドンナの戸波先生に筝で合奏していただけるのです。何度合わせてもらっても身体中汗びっしょりの緊張感で、わが身でないような体験をするのがなによりの楽しみです。

 これまで終えた曲を並べておきます。
黒髪、鶴の声、六段の調、八千代獅子、夕顔、末の契り、ながらの春、八段、茶音頭、ままの川、深夜の月、桜川、けしの花、四季の眺、磯千鳥、御山獅子、楫枕、新娘道成寺、里の暁、それに宮城道雄の新曲 若水、秋の庭、比良、遠砧、都踊、高麗の春。
 ちょっと自分でも信じられないほどです。